宮司だより
宮司だより
  • 【No.482】2018.4.6

土俵の上に女性が上がって良いかどうか?
これを論ずるには、相撲は興行か神事か?
興行であっても神事的要素を残したものか?
単なる興行か?
から考えないといけない。

皆さんは、土俵開きの際に神職を呼んで祭儀を行って神を降ろし、千秋楽で神を送っていることをご存知だろうか?
これはつまり場所中の土俵には神が宿っているということであり、そうなると相撲は神事ということになる。
実は、私はこのことは知らなかった。だからマスコミの言う通り協会の対応はおかしいと思っていた。

神事だとすると女性が土俵に上がってはいけないと言うのは、伝統だからではなく、宗教上(神道的な)の理由であり、いかなる理由があっても場所中に土俵上に女性は上がるべきではないということになる。

今回の市長が重大な病状で倒れたという状況の中でも、女性は上がるべきでなかったのだ。
協会が間違えたのは、救命している女性に土俵から下りるようアナウンスしたことではなくて、医療スタッフを土俵の近くに常駐させていたなかったこと、になる。
(ラグビーでは、トップリーグや国際試合には医師が必ずグランドに詰めている)

彼らプロの相撲取りは常に怪我と隣り合わせであり、もし障(さわり)があって怪我でもして、最悪の事態として相撲人生を終わらせるようなことになるのを恐れているはずである。だとしたら、社会の常識など当てはめず相撲界の価値観を尊重しなければならい。
相撲協会も「伝統」を理由にするのではなく「神事」であるから「宗教的な理由で」とすれば良いのだ。
その場合、もし単に時代にそぐわないという理由で批判するとしたら、それはあまりに軽率だ。
日本人として固有の文化や宗教を重んじるのであれば、世間一般の感覚や価値観ではなく、特別な、相撲なら相撲の、神道なら神道の価値観を尊重してこそ、その文化の価値が際立つのではないか。
もし社会の一般的な価値観を得意な文化や宗教に当てはめるのであれば、それはもはや文化でも宗教でもない。
女性が文化庁長官に就任したならば、代理で次長が土俵に上がれば良いし医療スタッフは全て男性にすれば良い。
それでも女性の文化庁長官を土俵にあげる必要があって、医療スタッフに女性を入れる必要があるのであれば、土俵開きの際に神降ろしなどせずに、安全祈願祭を行って、場所が終わったら感謝祭をすれば良い。
こうすれば、相撲は神事ではなく、単なる興行となって何の問題もなくなる。
女性だって自由に土俵に上げられる。
外国人力士が増え、横綱の品位の意味も曖昧になった今、別に相撲を神事と捉える必要もないだろう。
伝統的な要素を残した興行という位置付けにすれば、全てがしっくりくる。と私は思う。

| 2018-04-06 | 宮司だより | 記事▼ |